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【モブ虎/3】逃走中 【8】~そして暴かれた真実~/完

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「――――さん……虎徹さん?」
 誰かが名前を呼んでいる。
 よく知っている声だ。
「んっ……」
「起きてください、虎徹さん」
 軽く揺さぶられて、ようやく瞼をこじ開けた虎徹は眩しさを堪えつつ身を起こした。
「……あれ?」
 周囲を見回しているうちに、ようやく自分が研究所にある酸素カプセルに入っていたことを思い出す。
(そういやバニーに誘われて来たんだっけ)
 疲れがたまっていたのか、ずいぶんぐっすりと眠っていたようだ。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」
 心配そうに覗き込んでくる相棒の顔を見て、なぜか泣きたいような気分になった。
 いったい自分はどんな夢を見ていたのだろう。
「どうだ、リフレッシュできたか?」
 拡声器付きのヘルメットを被った斉藤さんに訊かれて、うーんと首を捻る。
「なんかものすっっっごく疲れた気がするんだけど。これって疲れが取れる機械じゃなかったっけ?」
 すると不思議キャラの天才メカニックはキヒヒと小さく笑って、まぁ今回は仕方ないなと謎のつぶやきを落とした。
「痛みはないだろ?」
「そりゃまぁ、どこも痛くはないけど」
 疲労回復どころか、全身が妙にだるいのだ。しかもなんだか違和感を覚えて、ふと視線を落とし、重要な異変に気がついた。
「――――あ」
「どうしました? やっぱり、どこかつらいんですか?」
 バーナビーに覗き込まれて、慌てて首を振る。
「い、いやぁべつに……」
「無理しないで、何かあるなら言ってください」
(あるとも。大ありだよ)
 今現在、非常につらい状態だが、とても口には出せない。何しろ異変はもろに股間部分だったからだ。見た目では分からないかもしれないが、ズボンの前がぐっしょりと濡れている。きっと下着もだ。つまり夢を見ていてこうなったわけで。
(だから俺、どんな夢見てたのよ……)
 思春期の少年じゃあるまいし、と本気で泣きたくなった。
「だ、大丈夫だって」
 それでもなんとか悟られまいと、引き攣った笑みを浮かべて、もぞもぞと膝を立てる。
(鏑木・T・虎徹、人生最大のピンチかもしれない)
 どうしようかと途方に暮れかけた時、救ってくれたのはバーナビーだった。
「虎徹さん、喉渇いたでしょう? 水をどうぞ」
 そう言って紙コップを差し出してくれたのだが、それを受け取ろうと伸ばした虎徹の手とぶつかってしまい、コップの水を派手にぶちまけてしまったのだ。ちょうど腰のあたりに。
「すみません! 大丈夫ですか? 濡れちゃいましたね」
「い、いや……このぐらい」
「でも濡れたままじゃ気持ち悪いでしょう。着替えてきてください。ロッカーに予備のトレーニングウェアがありますから」
「そ、そうか? じゃあ……」
 助かった。心底ほっと胸を撫で下ろし、虎徹はカプセルのある部屋を出た。



 手早く着替えて、ランドリーにズボンを放り込む。
(……にしても気になる。俺が見た夢っていったい……)
 頭を悩ませながらカプセルのある部屋に戻っていくと、部屋の隅で斉藤さんとバニーが何やら話し込んでいた。バーナビーの声は聞こえにくいが、斉藤さんは拡声器を付けているからよく聞こえるのだ。
「なんで勝手によけいなキャラまで追加してるんですか。あの兄弟は必要ないでしょう」
「そうか? 結構いい演出だったと思うんだがな」
(……兄弟? って、あれ……今なんか思い出しかけたような……)
 立ち止まり、考え込んでしまった虎徹には二人ともまだ気づいていないらしく、そのまま話を続けている。
「まぁ上手くいったから構いませんけど。夢の内容は覚えてなさそうですしね」
「ああ、ありゃ何にも覚えてないな」
「夢の中で責められている間中ずっといい声で啼かれて、僕の方が大変でしたよ。にしても虎徹さんは感度が良すぎる。いくら夢の中とはいえ、知らない男に犯られてあんなに可愛く悦がるなんて、ちょっと問題だな」
(…………はい?)
 いろいろ引っかかる単語ばかりで固まってしまった虎徹の脳内で、先程までの夢がうっすら甦ってきて、リプレイされていく。
(えーと……)
 夢を記憶するには反復が大事なのだ。
(確か俺は、反NEXT勢力を名乗る連中に捕まって………なんか、すっげぇひどい目に遭ってたような……???)
「おまえさんが楽しみすぎたせいじゃないか?」
「そんなことありませんよ。だいいち僕の欲求は二の次です。口で言ってもなかなか聞き分けてくれない虎徹さんに、夢の中で危険を味わってもらうことでムチャをしないようにっていう相棒としての配慮なんですからね」
(夢の中で、ってことは…………まさか)
「反NEXTを謳う勢力は実際存在しているし、虎徹さんがスキモノの連中を煽るようないやらしい身体をしているのも事実だし、そのことに本人だけがまったく気づいていないっていうのも本当なんですから」
「まぁ、そのあたりの見解は置いとくとして。アンチNEXTや痴漢に注意するのはともかく、スポンサーまで悪役で登場させなくてもよかったんじゃないか?」
「ダメですよ。あの人、本当にごく一部の人たちに変に人気があるんですから。どんな相手にも注意してもらわないと。何しろ相手がその気になれば脅しのネタになりそうなことを、うっかり自分でやっちゃって墓穴掘るタイプですから」
(失礼な。ていうか、なんだそれ……痴漢? スポンサー? 言われてみれば、うっすらとだけどなんか嫌~な記憶が埋もれてるような……)
 しかもトラウマになりそうな類の記憶が。
「睡眠学習の効果がそういう方面にどれだけ生かされるか分からんが、実験自体は結構面白かったぞ。過去二回の反応を参考にして暗示用のテープを作成したからな。今日が一番強く反応していたのも、その成果だ」
「ええ、斉藤さんの協力のおかげです」
(…………なるほど。全部読めたぜ)
 思い出したくないことまでほとんど全部思い出してしまった虎徹は、先程ランドリーに突っ込んできたズボンの染みを思い返して、ふつふつと湧き上がる怒りに拳を強く握った。
「協力のおかげ、ねぇ」
 ぼそりとつぶやいた一言に、二人の肩がびくんっと跳ね上がる。
「……あ、虎徹さん。戻ってたんですか」
「ああ、ちょっと前にな」
 ややぎくしゃくした動作で振り向いた二人に、にっこりと微笑んで虎徹は言った。
「でさぁバニーちゃん、睡眠学習ってそれ…………なんの話?」
「えっ?」
「…………」
 その瞬間バーナビーは見事に固まり、斉藤さんはスッと視線を逸らした。
 まぁ当然の反応だろう。
「おじさんに詳しく聞かせてくれないかな~」
 全身から青い光が迸り、握った拳にも力が宿る。
「こ、虎徹さん……ちょっと待ってください! これにはちゃんと訳が……!」
「――――問答無用ッ!」

 妄想という特殊なアダプターによって妙な変換をされてしまった恋人兼相棒の心配は、とりあえず拳で払拭しておくことにした虎徹だった。



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