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【モブ虎/3】逃走中 【6】

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 突然降り出した雨が、シャツを濡らし、肌に張りつかせる。
 目立つベストと帽子は途中で捨てた。できれば違う上着を調達したかったが、なかなか都合よくはいかない。それでも急に降り出した雨のおかげで、誰もが急ぎ足で通り過ぎていく中、あまり目立たずにいくつかの道を横断することができた。
「あれに乗れりゃ早いんだけどな」
 頭上を走るモノレールを見上げて、ぼそりとつぶやく。
 それでも一応ウエストエリアには入ったはずだから、あと少しだ。
 降り注ぐ雨粒を避けて入ったトンネルから鈍色の空を振り仰げば、一年前のことがまざまざと思い出されて、自然と眉間に皺が寄った。
 あの時はベンさんに助けてもらったが、今回はそうはいかない。なぜなら彼もまたアポロンメディア社にいるのだから。
「あと三十分くらいか」
 徒歩で行くしかないのだ。
 ブロンズステージはシルバーやゴールドに比べて狭く入り組んだ道や建物がごちゃごちゃしているエリアが多いので、身を隠す場所も比較的多い。その代わり追跡者たちも近くに潜んでいる可能性があるから、油断はできないのだが。
「ま、なんとかなるさ」
 自分に言い聞かせて、再び雨の中へと駆け出していく。
 しかし―――――
「おいおいオッサン、どこ見て歩いてんだよ~?」
 ずらりと横一列に並んだ若い男四人に道を塞がれて、足を止めた。いかにも素行の悪そうな連中だ。
「俺たちの服が濡れちゃったじゃん」
 ぶつかってはいないはずだが、なんとも分かりやすい因縁のつけ方だ。
「……悪いが金は持ってないぞ」
「ケチくさいこと言わないでさー」
 用心深く男たちの手首を確認してみたが、時計をしている者はいても例の集団とは違うデザインだった。何も嵌めていない奴もいる。
(こいつらは違うみたいだな)
 単なるチンピラだ。さほど気にする必要はないだろう。
 たとえ能力が使えなくても、凶悪な犯罪者たちを相手にしてきた場数は伊達じゃない。安っぽい不良の相手をするのにハンドレットパワーなど必要ないのだ。
「ちょっと急いでるんだ。そこをどいてくれないか」
「ええ? やだよ」
「だったら力ずくで押し通るぞ」
 宣言して、身構える。
 青い光は発していなくても戦闘モードに入ったのが伝わるのか、不良たちは一斉に顔を強張らせた。四対一なら簡単に脅せるとタカをくくっていたのだろう。これなら殴り合いをする必要もなさそうだ。
 雨脚も強くなってきた。急ごう。
 ところが一歩踏み出しかけた途端、
「それは困るのよね」
 背後から女の子の声が聞こえてきてハッと振り返った。
「ターゲットを捕まえたら報奨金が出るの」
「……え?」
 バチンと空気が弾ける音と共に、虎徹の身体に衝撃が走る。
 スタンガンだ。
 薄れていく意識の中、視界の端に捉えた少女の手首にはあの時計が嵌められていた。



 周囲の空気がざわついている。近くに大勢の人間がいるようだ。
 覚醒し切れないまま、そのざわめきの中を漂っていると、ふいに誰かの手が身体に触れた。
「……っ!」
 ピクンと瞼が痙攣し、深い海の底から水面へと引き上げられるようにふっと意識が戻ってくる。
「目覚めたようですね」
 すぐ近くで知らない男の声がした。その声に眠っていた五感も揺さぶられたのだろうか。気づけば、刺すように眩い光が上から降り注いでいた。
「うっ……」
 虎徹は小さく呻いて、二度、三度とゆっくり瞬きを繰り返した。
「同志の皆さん、お待たせしました。ターゲットが目を覚ましましたので儀式を始めたいと思います」
 アナウンスが響く。マイクを通した声だ。
「……え?」
 ようやくハッキリと目覚めた虎徹はぐるりと周りを見回し、四肢を硬直させた。
 光の洪水の元はライトだ。場所はどこかの小さなホールだろうか。目の前には客席があり、暗がりの中、スーツなどを身に着けた男たちがずらりと並んでいる。女性の姿はほとんど見当たらない。
 一方、虎徹がいるのは光に照らされたステージの上だった。
 腰と胸に巻きつけられた太い革のベルトによって、がっちりと身体を拘束されている。しかもそのベルトは上から吊るされた鎖と繋がっているようだ。動こうとするとジャラリと音がして、引き戻された。
 下肢は自由だか、鎖の長さがちょうどまっすぐ立った状態でギリギリにしてあるのだろう。座ることはもちろん、前後左右に動くこともほとんどできない。これでは本当に鎖で繋がれた獣のようだ。
(NEXTは人間じゃねーってのか)
 気を失っていた間はこの鎖にぶら下がっていたので、ベルトで縛られている部分が少し痛んだ。重みがかかっていたせいで鬱血しているかもしれない。
 身体と一緒に縛られている腕には、左右両方に銀色のリングが嵌められている。例の能力を制御するという装置だろう。
 機械によって力を奪い、身動きできないように縛り上げて、嬲り者にする。噂以上の醜悪さだ。

『衆人環視の中で陵辱プレイってやつだ。本部の連中も好きだよなぁ』

 物置小屋で黒いスーツの男が言ったセリフが脳裏に甦ってきて、吐き気がした。
「なんだよ、これ」
「私語は慎みなさい。これはあなたの罪を贖うための儀式です」
 壮年の紳士が傍らに立ち、マイクでしゃべっている。神父の格好をしているくせに、虎徹が普段使っているようなアイパッチで目許を隠しているところを見ると、仲間にも正体を隠したいようだ。もしかすると不埒な見世物の司会進行役というだけでなく、この男がイカレた集団のリーダーなのかもしれない。
 そう思うと猛烈に腹が立った。
「不自然な力によって人々を脅かした罪を素直に認め、罰を受けなさい」
「ふざけんなっ! 何が罪だ。そりゃたまーに物を壊して賠償金を請求されることもあるけどな、俺は人助けのためにしか能力は使ってない! それが俺のポリシーだからな。こんなふうに糾弾される覚えは一切ねぇぞ!」
 怒りに叫ぶ虎徹を神父は冷たい一瞥で見下ろし、舞台の袖に向かって小さく合図を送る。
「御託は必要ありません。反省できないなら、ケモノらしく啼いていればいい。観客を愉しませるために。それがせめてもの償いです」
 すると、カーテンの陰から正装をしたやたらと体格のいい男が三人現れて、虎徹を取り囲んだ。
 たちまち観客席から拍手が湧き起こる。みんなこれから何が起こるか分かっているのだ。
 喝采の中、虎徹は抗うこともできずにシャツを破かれ、ズボンと下着を両脚から引き抜かれた。拘束具に挟まれている布切れがわずかに残っているだけで、もうほとんど裸に剥かれた状態だ。
「……いきなり何しやがる」
「今夜の獲物は威勢がいいな」
 男たちが下卑た笑いを張りつかせながら、胸や下肢に手を伸ばしてきた。三人とも神父と同じように目許を布で覆っているが、劣情を滾らせギラついた表情までは隠せていない。
「それも最初のうちだけさ」
「たっぷり可愛がってやるよ。泣きながら腰を振るぐらいに、な」

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