スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←【モブ虎/3】逃走中 【5】 →【モブ虎/3】逃走中 【3】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png Smell The Roses
もくじ  3kaku_s_L.png 妄想Adapter
もくじ  3kaku_s_L.png サンプル
  • [【モブ虎/3】逃走中 【5】]へ
  • [【モブ虎/3】逃走中 【3】]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
 

妄想Adapter

【モブ虎/3】逃走中 【4】

 ←【モブ虎/3】逃走中 【5】 →【モブ虎/3】逃走中 【3】

               ◇◆ ◇◆◇ ◆◇


 とは言うものの、大勢の人間から逃げるのはそう容易いことではない。
 逃走を始めた途端、虎徹は様々な攻撃に曝された。人通りのない道に入れば、武器を持った人間が現れて襲いかかってくる。ならば、と大通りをこっそり歩いていたらいつの間にか数人に取り囲まれていて、ぎょっとしている間に車で連れ去られそうになった。慌てて逃げようと路上を走ったら、追いかけてきた車に撥ねられそうになったりもした。参加人数は思っていたよりもかなり多いようだ。
 こんなにもNEXTを嫌っている人間がいるのかと、だんだん哀しくなってきてしまった。
「……ったく、時代に逆行してるんじゃねーか?」
 獲物のように狩られるのだといきなり宣告されても最初は信じられなかった。事故に巻き込まれそうになった人を助けようとしただけなのに。まさか、そのせいで自分が犯罪者のように追いかけられるハメになるなんて―――――これではまるで大昔の魔女裁判だ。
(絶対おかしいだろ、こんなの)
 それでも市民全体に比べればほんの数パーセントなのだろうが、目印が付いているわけではないので、虎徹には誰がハンターなのかさっぱり分からない。じきに街を行き交う人々すべてが自分を狙っているように思えてきて、戦々恐々となった。
 人目を避けて逃げ回るのは一年前と同じだが、今回はさらにハードルが高くなっているような気がする。一刻も早くバニーと合流しなくては。
「ええっとアポロンメディアのビルは……どっちに行きゃいいんだ?」
 必死に逃げ回っているうちに、ついつい人の少ない方に来てしまったのはまずかったかもしれない。
 せめて携帯があれば仲間に連絡を取って事情を説明できるのだが、悔しいことに乱闘の最中、落としてしまった。きっとそれも計算の内なのだろう。助けを呼べないようにしたのだ。
 ターゲットに決めてからおそらく何人かで連絡を取り合いながら虎徹を尾行し、住所や勤め先を割り出して、タイミングを見計らっていたに違いない。かかってきた電話に気を取られている隙に襲われたのだから、もしかすると直前にかかってきた電話もあの連中からだったのではないだろうか?
(そういや何度かイタズラ電話かかってきたけど、全部外を歩いてる時だったもんな)
 物陰などから虎徹のようすを窺いながら電話をかけて、番号を確認していたのかもしれない。いったいどこからナンバーを調べたんだと疑問も湧くが、例えばこの狩りのメンバーに電話会社の人間が加わっていて、先に住所が確認できていればこっそり調べさせることも不可能ではないだろう。
「普段は善良な一般市民ってとこが厄介だな」
 実際一人一人と向き合えば、さほど危険ではないのかもしれない。傾いた思想を抱えて徒党を組むから危険になるのだ。
 そういう相手にハンドレットパワーで反撃するのはいささか気が引けるが、だからといってまったく使えないのでは話にならない。たった一分、されど一分。敵と向き合う時、その一分間にどう動くかによって事態は大きく変わってくる。
 しかし腕に嵌められた装置はなかなか頑丈にできているらしく、自力では壊すことも外すこともできそうになかった。
 おまけに運悪くこの装置が右手首を覆い隠してしまったため、ヒーロー専用のリストバンドを操作することもできない。
(斉藤さんに頼むには……やっぱ会社まで行かねーとダメか)
 バーナビーのマンションはゴールドステージだが、この時間なら彼も会社にいるはずだ。
(…………バニー)
 今、無性に声が聞きたい。
 会いたくてたまらなかった。
「だから僕が気をつけてくださいってあれほど言ったじゃないですか!」
 そう言ってツンツン怒ってる顔でいいから、早く見たい。そしたら自分は「大丈夫だ、問題ない!」って言い切れるはずだから。
(なんとかして移動しねーと)
 しかし追っ手は容赦なく迫ってくる。
「いたぞ! あの陰だ」
 突然鼓膜に突き刺さってきた声が沈みかけていた思考を中断させた。
「やべっ、見つかった!」
 物陰から飛び出し、全力で走り出す。追っ手を振り切るため、虎徹は再び息を切らして路地を駆け抜けた。



 裏路地を飛び出してから、どこをどう走ったかは覚えていない。気がつくとブロンズにしては結構大きな屋敷の敷地内に逃げ込んでいた。
 大きな木の茂みに身を潜め、辺りを窺う。
 今のところ追ってくる者はなさそうだ。
「はぁー……っ」
 虎徹は深いため息を吐いて、その場にずるずると座り込んだ。朝からずいぶん走らされたので、もうくたくただ。手足が鉛のように重い。空腹はとっくに通り越した。それでも今回はまだ下水道を通っていないだけマシだろうか?
 休憩しながら頭の中でアポロンメディア社へ向かうルートをあれこれ検討していると、不意に背後で人の気配がした。
「……っ!」
 びくりと身体が跳ねて、反射的に振り向く。
 相手も驚いたようすで立ち止まり、その場に固まっていた。
(どっちだ? 敵か、それとも無関係な一般人か?)
 虎徹は素早く視線を走らせ、相手を観察した。
 立っていたのはまだ少年と呼んでいい風貌の若者だった。娘の楓よりはだいぶ上だと思うが、おそらく十代後半だろう。少し気が強そうだ。
 虎徹を捜していたわけではなさそうで、相手もこちらが何者か探っているのが表情で分かる。ハンターではなく、この家の住人だろうか?
「あ……悪い、勝手に入り込んじまって。ちょっと、その、事情があって……」
「おじさん、誰?」
 もごもご言い訳していると、少年の澄んだ緑色の瞳が冷たく尖った。特別顔の造りが似ているわけではないが、なんだか雰囲気が似ていて出会ったばかりの頃のバニーを思い出させる。
 そのせいかほんの一瞬、別の次元に迷い込んで高校生の頃のバニーと巡り会ったような錯覚に陥ってしまった。
(俺よっぽどバニーちゃんに会いたいんだなぁ)
 そんな自分に思わず苦笑しながら、頭を掻く。
「いや、ホントごめん。こう見えても怪しい人間じゃないんだ。ただ悪い連中に追われててさ。なんとかして仲間のところに戻りたいんだけど」
「ふーん……」
 こんな言い訳で信用してもらえるか不安だったが、音を立てて腹の虫が鳴ると、少年はくすりと口角を緩めた。ツンと澄ました表情も少しやわらかくなった気がする。
「まぁいいや。僕もこう見えて悪い奴結構見てるから、おじさんがそうじゃないことぐらいは分かるよ。お腹減ってるんでしょ?」
 何か持ってきてあげようかと言ってくれたのは有り難かったが、虎徹は首を横に振る。
「それより仲間に連絡を取りたいんだ! 携帯持ってないか?」
「あるよ」
 バニーに似た天使があっさりとポケットから取り出した携帯を目にした瞬間、思わず嬉しくて泣きそうになってしまった。
「……ありがとう! ちょっと借りるな。それと、悪いんだけど工具とかあったら、それも貸してくれないか?」
 何か仕掛けがしてあるかもしれない腕の装置を一刻も早く取り外したかったのだ。
 それならあそこに、と物置小屋を指差した少年に導かれて、虎徹は母屋から少し離れた別棟に移動した。
 中は多少埃っぽいが、案外広くて片付いている。
「ここにあるから好きに使っていいよ」
 見ると、大きな工具から小さなドライバーまで様々な道具類が壁に設置された棚にずらりと並んでいた。これだけ揃っていれば、この厄介な装置をぶっ壊すことができるかもしれない。
 昼食の残りが何かあるかもしれないから探してきてあげると言って少年が出て行った後、虎徹はさっそく電話をかけながら工具を物色し始めた。
 電話の相手はもちろんバニーだが、残念ながら携帯の番号を暗記していなかったので、まずは会社にかけた。
 コール音一回ですぐに電話は繋がった。ただし電話口に出たのは事務所のおばちゃんだ。
「あ……もしもし、俺です、虎徹ですっ!」
 連絡も入れずオフィスに顔を出さないことをガミガミ怒られたが、いちいち聞いている暇はない。
「分かりましたって! だからこうして今電話してるじゃないですか。ちゃんと向かってますよ。近くまでは来てるんです。いいからバニーに換わってください!」
 しつこく食い下がろうとするおばちゃんとしばし言い合いをした後、やっとバニーが電話口に出た。
「もしもし、虎徹さんですか?」
 聞きたくてたまらなかった相棒の声だ。
「ああ」
「いったいどうしたんです? 連絡がないから心配してたんですよ。もしかして具合悪いんですか?」
「それが大変なんだよ! 助けてくれ、バニー! ほら、えーとこの間話してたREDとかいう反NEXT勢力の連中! 実は今朝、そいつらが俺の……」
 俺のところに押しかけて来て、いきなり妙な宣言されて、逃げている真っ最中なんだと伝えようとしたのだが。
 全部話し終える前に、手からスッと携帯が奪い取られて、通話を切られてしまった。
「……え?」
(まさか――――)
 この展開はどう考えてもやばいパターンだ。
 ぎくしゃくしながら振り返ると、そこに立っていたのは先程の少年ではなく、長身で厳つい強面の男だった。

関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png Smell The Roses
もくじ  3kaku_s_L.png 妄想Adapter
もくじ  3kaku_s_L.png サンプル
  • [【モブ虎/3】逃走中 【5】]へ
  • [【モブ虎/3】逃走中 【3】]へ
 

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント:投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバック URL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [【モブ虎/3】逃走中 【5】]へ
  • [【モブ虎/3】逃走中 【3】]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。