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【モブ虎/3】逃走中 【1】

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 息を切らして、建物の隙間を縫うように狭い路地を逃げ惑う。
「ハッ……ハァハァ……」
 後方から迫ってくる足音は二人。いや、三人だろうか。もしかするとハンターの数が増えたのかもしれない。
「くっそぉ…! どうすりゃいいんだよ」
 虎徹は追っ手の死角となる物陰に飛び込んで、身を潜めた。
 長い距離を走ったせいで呼吸はすっかり乱れている。浅い呼気に喘ぐ胸を上下させながら、じっと通りのようすを窺っていると、じきに服装も年齢もバラバラの男三人が目の前を駆け抜けて行った。
「…………まいったなァ」
 なんとかやり過ごしたとはいっても単なる一時凌ぎだ。表通りに出ればハンターと自称する連中がもっとうようよいるだろう。獲物を捕らえようと待ち伏せているかもしれない。しかも厄介なことに、相手はこちらの顔を知っているというのに、虎徹にはいったい誰がハンターなのかさえ見分けることができないのだ。これほどのハンデがあるだろうか?
 正直言って、逃げ切れる自信はまったくなかった。

『NEXTはこの世に危機をもたらす忌まわしき存在。特に貴様のような危険分子を野放しにしておくわけにはいかない。よって我々REDは貴様を狩ることにした。本日午前八時、粛清のため我々の同志がハンターとなって一斉に動き出す。捕らえた後、貴様には相応の罰が下されるであろう』

 今朝、アパートのポストに届いていた不穏な手紙。
 数分後にはその文面を冗談だと笑えなくなってしまった。
(まさか本気で追いかけて来るなんてなぁ)
 知らず知らずのうちにこぼれ落ちたため息は深い。鏑木・T・虎徹、絶体絶命の大ピンチだ。
(だいたい何なんだよ、狩るって……人を珍獣扱いしやがって!)
 差出人不明の手紙が入っているシャツの胸ポケットをベストの上から押さえて、記憶を遡っていく。
 きっかけはおそらく十日ほど前に起こった事故だ。
 ただしそれはテロや犯罪絡みではなく、一般車輌によるただの交通事故だった。しかも虎徹が能力を発揮したことによって死者は一人も出ていない。
 要するに、彼は偶然居合わせた現場で人助けをしたに過ぎないのだ。
 それなのに――――
(いったいどうしてこんなことになっちまったんだ?)
 ここ数日の出来事を思い返しながら、虎徹はぐっと奥歯を噛みしめた。



               ◇◆ ◇◆◇ ◆◇



 用事を済ませ、駅に向かって歩いていた休日の午後。
 突然、背後からキューッと何かを引っ掻くような甲高いブレーキ音が聞こえてきた。
「あっ…?」
 やばい、ぶつかる! そう思って振り向いた瞬間、案の定ガシャンという大きな衝撃音が交差点で鳴り響いた。しかも、ぶつかった弾みでハンドルを取られたのか、一台の乗用車が車線を横切ってまっすぐ歩道に突っ込んでいく。
「……危ない!」
 運の悪いことに、その先には幼い子供の手を引いた母親らしき女性と老人が一人歩いていた。あれこれ迷っている余裕はない。虎徹はすぐさま能力を発動させて、近くにあった街灯を素手でへし折ると、十数メートル先に向かって思いきり投げつけた。むろんハンドレットパワーだからこそできる荒業だ。
「う、うわぁ!」
「……キャーッ!」
 周囲からはワンテンポ遅れて悲鳴が上がった。
 やり投げの要領で放り投げられた街灯は、猛スピードで突っ込んできた車の先端に見事命中。ボンネットを貫いてアスファルトに突き刺さり、事故車が歩道に乗り上げる直前ギリギリのところで停止させた。
「よしっ!」
 無残にも鉄の車体は紙のようにくしゃくしゃに折れ曲がっている。それでも、すぐに座席から自力で転がり出てきたところを見ると、運転手は軽傷で済んだらしい。車が止まったおかげで歩行者も無事だった。お年寄りが腰を抜かした程度だ。最悪の事態は回避することができたと、虎徹は胸を撫で下ろした。
 もっともその直後に周囲で立て続けにガツン、どかんと衝突音が連発したのは計算外だったが。
 突然吹っ飛んできた街灯に驚いて、他の車までハンドル操作を誤ってしまったため、対向車と接触したり、慌てて急ブレーキをかけた結果スピンしてしまい、その横っ腹に後続車が突っ込むという光景が交差点周辺で続けざまに発生したのだ。
「あちゃー……」
 ひょっとしてまたお叱りを受けるだろうか?
(今月はもう予算使い切ったってロイズさん渋い顔してたっけ)
 いや、それどころか下手をすると会社はビタ一文出してくれないかもしれない。何しろヒーローとしての活動中に起こった損害ではないのだ。当然のことながら出動要請など受けていないし、咄嗟のことだったのでアイパッチもつけていない。今の虎徹は周りの人々にヒーローとは認識されていないはずだ。つまり、ただの通りすがりのNEXT能力者に過ぎない。ならば当然、請求は虎徹個人に回ってくるだろう。
 へし折った街灯の分だけでなく、後続の車の修理代まで全部含めると、いったいいくらになるのか考えるだけで眩暈がしてくる。
(けど、人命が第一だしな)
 犯罪ではなく事故だしポイントも付かないが、人の命を助けることができた。虎徹自身はそれだけで満足なのだ。
(……まぁなんとかなるだろ)
 このときは、まだそう思っていた。

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